彼もまた。
先日、ローの教授が1人逝去された。
67歳だった。

私は前期に彼の授業を受けたのだが、これがひどいのなんのって。
1時間半の授業の中で、彼が内容のある話が出来たのは、毎回15分もなかった。
病気だったから、である。

一人で立ち上がることが出来るのは稀。
しかしたまにバスに一人で乗ってるのを見かける。
その病状の深刻さがどの程度なのか、正直よく分からなかった。

彼はその道の大家といわれる人で、私の通うローが彼を教授として雇い入れたのは、そのネームバリューによって、文科省の設立認可を受けやすくするためだったと聞く(結果的に殆どの大学が設立認可を受け、今日の混迷につながっているのだが)。

各学期末、学校側は、生徒に各科目の授業アンケートを行う。
彼が受け持ったクラスの生徒は、皆、正直に「ひどい」と書いた。
「ゆっくり休んでください」と書いた生徒もいたし、ボロカスに書いた人もいる。教授会にどなりこんだ元社会人もいる。

人伝てに聞いた話によると、それを見た教授は怒り狂ったらしい。
そりゃそうだ。
彼ほどの大家になると、学界で真正面から批判されることなんてないだろうから。
「ブレイ者!」ってなモンである。

後期は「体調不良のため」違う先生が来た。
素晴らしい先生だったので、ホッとした。

亡くなられたと聞いて、クラスメートと、弔電を送るかどうか話し合った。
本来送るべきだ。
しかし、我々の非難が、まだ若い彼の急激な病状の悪化の一因だ、というのはいかにもありそうなことである。
体調が悪い時に、60人弱もの人間から、自分のライフワークである専門分野についてどぎつい非難を受ける、というのは、いくらそれが高給の見返りであり、さらには自分のせいであってもあまり気持ちの良いものではない。
生徒にとって正当な非難であることは、ご家族にとってあまり意味をなさないだろう。

とはいえ賛成多数で送ることになり、ネットで文面を探していたら、「ゆっくりお休みください」というのがあった。
前述の学生は、自分が書いた言葉を後悔していた。

この教授は、もし、ローの教授になられなければ、晩年こんな不快な目に遭うこともなく、名声の中、死ねただろう。
引受けた自分が悪い、と思うかもしれない。
でも彼があまりにも有名な教授であったがために、たとえ私の通うローが雇わなくても、他のどこかのローに必ず雇っていたと思う。
まだ実績、という学生呼び込み材料がない現在、どこのローも一人でも多くブランド教授が欲しいからである。
その意味で、彼もまたローという新制度の犠牲者の一人なのだろうと思う。

ご冥福を祈ります。
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by cheeriot | 2006-02-18 23:59 | SCHOOL
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