被害者は誰?
2006.2.1以降、問題は一部、解決されたのだけど、
被害者からするとありえない法律問題がありました。

それは偽造キャッシュカードによる銀行預金の盗難。
(有名な話なんで知ってる人も多いかもしれないけれど。)

例)AさんはB銀行に100万円の預金がありました。
  犯人がAのキャッシュカードを偽造し、B銀行のATMからその100万円を盗みました。
  Aさんのキャッシュカードの管理に手落ちはありませんでした。

 この時、AはB銀行に自己の被害額である100万円の補填を請求できるか?
   ↓
 銀行預金口座開設時に署名した、契約書にある約款の文言のため、 AがBに補填を請求することは、現実的には、まず不可能。 (最高裁が1993年に「この約款は有効」という判決を下したの)
   ↓
では警察に犯人を捕まえてもらった上で、犯人に対する民事裁判を起こし、犯人から100万円全額or一部を返してもらえないか?
   ↓
まず、警察に犯人を探してもらうためには、被害届の提出が必要。
   ↓
でも犯人は、ATMから100万円を盗んでいる。…ATMの中にある現金はB銀行の物であるため、被害者はB銀行となる。
しかし2004年6月21日まで、銀行は基本的にこういった被害について被害届を出さなかった。
   ↓
では犯人がATMを騙してお金を取った、と考えて詐欺罪に出来ないか?
→ 「人」を欺かないと詐欺罪は成立しないのでダメ。
   ↓
キャッシュカードの偽造の罪で捜査できないか?  → これも被害者は銀行

…というわけで、基本的に被害者は泣き寝入りだったわけです。
諸外国じゃありえない話。

さて。
2004年の偽造・盗難キャッシュカードによるATMからの不正引出しは全国で24億249万円にのぼり、社会問題化したため、2005年8月3日、急遽、国会で預金者保護法が成立しました。
その施行日が今日、2006年2月1日。

この新しい法律により、上述の例のような場合、損害を金融機関に補填してもらえる可能性が格段にアップします。(細かい話は省略)
金融機関によっては、過去2年以内に発生した同様の被害の損害を補填してくれることもあるみたい。
但し、この法律で保護されるのは、あくまでキャッシュカードによる被害のみ。
通帳やクレジットカード、インターネット取引の被害については対象外。

同様のヘンな問題は、偽造クレジットカードについてもあります。
犯人が偽造クレジットカードを使い、お店で買い物をした場合の被害者は誰か?っていう刑法上の大問題。

普通の感覚で言ったら、被害者はクレジットカード会社だと思うやん?
店はクレジットカード会社に「犯人が使った額を払って」といえるわけだから。
でも刑法上の通説によると、被害者は店になるんだなー。
でもって、被害者をクレジットカード会社とする法律構成で答案を書くと、被害者=店説の2倍くらいの長さになってめんどくさいので(cheeriot比)、皆、流れに逆らわず、通説に従って答案を書くわけです。

ヘンだよねぇ。
[PR]
by cheeriot | 2006-02-01 23:59 | SCHOOL
<< 悪いのは道具。 女王がいた。 >>



興奮のあまり、ただいまタイトル変更中
by cheeriot
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30